異世界一歩手前絵画展

当初のコンセプトは「1枚1枚の絵から感じられる異世界感を愉しめるような展示」だったのですが、抽象的な絵画や奇抜な構図や画題の絵画が並んでしまうため、「展覧会を一つの異世界転生後の流れとして愉しめるような展示」に変更しました。

日本で数年前から流行り始めた異世界(転生)は漫画やアニメ、ライトノベルなどの作品が主で、今では海外にも輸出され、Isekaiという英単語ができるほどメジャーなジャンルになっています。
幾つもの作品が生み出されましたが、そのどれもが基本的には主人公の死から始まり、魔法が有効なファンタジー世界で生まれ変わり、大活躍するという、テンプレートに沿った物語が展開します。

今回の展覧会は、そんなテンプレートを忠実になぞった、ひとつの物語としました。
その中から、札幌在住の作家2名の作品を紹介します。


HELLL「私をコントロールする者」

両手描きイラストレーターHELLLの限定作品。
人が行動を起こすとき、それは想いが具現化したのか、何らかの別の意思が介在したのか、明らかにする術はない。
コントロールできているように見えて、コントロールされている可能性だってゼロじゃあない。

─ 現実世界では「別の意思」をもってコントロールする者の存在は明らかにできない。
しかしいくつかの異世界の終末では、「別の意思」の代表である管理者と相対することもある。

HELLL「視界良好な幻想」

両手描きイラストレーターHELLLの限定作品。
遠くまで見通すことのできる眼が、真実を映しているとは限らない。
見たいものだけを見ているうちに、それが幻だと気づく機会すら失うだろう。
それはそれで幸せなことなのかもしれない。

─ 異なる世界があると信じつづけていれば、あるいは。

モントペペリ「レインボーマウンテンとアルパカ / 鵺 / 〇△□」

独特な世界観で人気の札幌の絵描き、モントペペリの作品。
七色の山で草をはむアルパカ、いくつもの動物が組み合わさった妖怪ヌエ、楽しそうに跳ね回る〇△□。
優しく暖かみのある画風で描かれる、うごくもののすがた。

─ 実在するもの、実在しないもの。
現実世界と異世界も、そんな関係。
けれど、どちらも頭の中にはしっかりとある。

2024年1月19日(金)から1月28日(日)まで